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Z世代にとってネットは現実、その捉え方を探る - WSJ

Z世代は生まれたときからスマホやソーシャルメディアが存在した初めての世代だ Photo: Luci Gutiérrez  

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト 

 多元主義者、ポストミレニアル世代、i世代。さまざまな名前で呼ばれているが、本人たちは「Z世代」を名乗るのではないだろうか。そしてすぐさま、世代とは恣意的なもので、技術が急速に進歩する今の時代、世代に何かしらの意味を持たせようとするなら、さらに細かく分類するべきだと言い張るに違いない。 

 ピュー・リサーチ・センターによると、一般的に「1996年前後以降に生まれた人」を指すZ世代はこれまで米国に登場した世代の中で人種的に極めて多様な世代だ。この世代はこれまでで最も進歩的な世代とも言われるが、政治的にはどう見ても一枚岩ではない。一言では説明しがたい世代。それがZ世代だ。 

 Z世代にも共通点はある。10代前半のころからソーシャルメディアと携帯型端末を通じて世界を捉えていることだ。上の世代はそれらを道具だと思うかもしれないが、Z世代にとっては水であり、彼らはその中で泳いでいる。 

 テクノロジーに詳しいZ世代の人々や研究者に話を聞き、出始めたばかりの関連論文などを参考に、この世代は少し上の世代とどう違うのかを探った。 

1.Z世代はネットと現実の世界を区別しない  

 「上の世代の人からは『若い人は現実の世界で友達付き合いをしない』とよく言われる」。そう話すのはニューヨーク市にあるフォーダム大学3年生のエマ・ハビゴーストさん(20)。MTVなどのメディアに若者について何度も寄稿してきた。「とても面白いと思った。私の世代にとってはインターネットを通じた交流も現実の世界の出来事だから」 

カリフォルニア州立大学フラトン校3年のジャスティナ・シャープさん(2018年12月) Photo: Justina Sharp  

 インターネットの世界と現実の世界の境がなくなるのは必然的なものだとハビゴーストさんは言う。人付き合いも、ネットワークを作るのもコミュニケーションも全て、iメッセージやインスタグラム、ツイッターなどさまざまなチャットアプリを通じて行っているからだ。 

 カリフォルニア州立大学フラトン校3年のジャスティナ・シャープさん(21)がファッションブロガーとして成功したとき、彼女はまだ13歳だった。仕事にできるかどうかも分からない状態で「インフルエンサー」になり、今では報酬を受け取ってオンラインデートサイト「バンブル」向けにスポンサー付きのコンテンツをインスタグラムに投稿している。 

 気持ちの上では半分は現実の世界で生きていて、もう半分は、友達やファンと直接つながるインスタグラムやツイッターなどのソーシャルメディアで生きている、とシャープさんは言う。 

 「私の人生にとってフォロワーは本当に大きな影響力を持つ存在」(シャープさん) 

2.インターネットにプライバシー? 爆笑  

 Z世代の人々のほとんどはキーボードに打ち込んだ言葉も、カメラに収めた映像も全て永遠の存在で、簡単にインターネット上に拡散する可能性があるものだと考えている。自分が衝動的に投稿した内容によって将来、自分自身が判断されるかもしれないと感じているから、絶対に気を緩めることはできない。それにうんざりすることもあるとハビゴーストさんは言う。 

 オハイオ州にあるマイアミ大学4年のレベッカ・ボルサーさん(22)は今では他人の目を気にせずに意見を伝えられるのは現実の世界の会話と電話だけになったと話す。 

 「陰謀論をうのみにしているのかもしれないが、フェイスブックのメッセンジャーを使うときでも自分の言葉や何のために発言しているのか、気を付けるようにしている。広告やデータが心配だから」 

 安全の問題もある。ネットフリックスの人気ドラマ「You-君がすべて」は主人公の男がソーシャルメディアの情報をたどって若い女性に付きまとう話で、若者はこうした教訓を肝に銘じている。ネブラスカ大学オマハ校3年のカムリン・ベイカーさん(21)は「インスタグラムに投稿するときに位置情報をタグ付けするときは、場所を移動したあとにしている」と話す。 

3.フェイスブックはもう古い、今はインスタグラムの時代  

 Z世代がフェイスブックを使って友達と連絡を取り合うことはほとんどないと言われ続けている。シャープさんは「私の世代にとって、フェイスブックは他の世代の人が私の生存を確認するためだけに存在している」と話す。 

フォーダム大学3年生のエマ・ハビゴーストさん(写真)は「私の世代にとってはインターネットを通じた交流も現実の世界の出来事」と話す Photo: Emma Havighorst  

 Z世代にとってインスタグラムは新たなフェイスブック、つまりシェアする初めての場所だ。ハビゴーストさんによると、インスタグラムでは誰もがコンテンツのクリエーター。投稿するほぼ全てのコンテンツが自身を入念にブランド化した結果だということだ。友達に向けて投稿したコンテンツでも、彼らはどういう人が見ていて、フォロワーにどのように感じてほしいかをちゃんと心得ている。「私の世代にとって、そのプロセス全体が当たり前になっている」 

 このところ苦戦しているスナップチャットについて、ボルサーさんは「インスタグラムがストーリー機能を始めると、私たちの世代の多くがスナップチャットから移った」と話す。インスタグラムのストーリー機能はスナップチャットにように短い動画を投稿できる機能で、2016年8月に導入された。 

4.最新ニュースはソーシャルメディアで読んでいる  

 ティファニー・ゾン氏(22)はZ世代について企業が学ぶ手助けをするゼブラIQの最高経営責任者(CEO)だ。米国各地のZ世代20人を含むフォーカスグループと話した際、ゾン氏は彼らがニュースを読むのは100%と言っていいほど、ソーシャルメディアがあるからだということに気付いた。彼らは自らニュースを求めているわけではなく、ニュースがたまたまソーシャルメディア上にあるからたくさんの見出しを読んでいるのだ。 

 Z世代の多くはツイッターとインスタグラムを使って情報を入手している。アイフォーン(iPhone)ユーザーの間ではアプリをダウンロードする必要がないアップルニュースが人気だ。 

 消費者の好みを左右するインフルエンサー文化は消費者がどのようなニュースを読み、どのように最新のニュースを入手しているかも左右する。例えば政治の世界では、ドナルド・トランプ氏であろうと、アレクサンドリア・オカシオコルテス氏であろうと、これを理解している人間がZ世代の間で圧倒的な成功を収める。ボルサーさんは「AOC(オカシオコルテス氏)は毎日ニュースに登場していて、彼女のツイートやインスタグラムの内容が話題になることは多い」と話す。 

5.動画は大事、でもそれが全てではない  

 Z世代にとってユーチューブの存在は大きい。ゾン氏によると、インフルエンサー文化に熱中している人の多くはインスタグラムにもユーチューブにも時間を費やしている。失敗に終わったツイッターのVine(バイン)など初期の短時間動画サービスによってZ世代のコンテンツの視聴の仕方が変わり、TikTok(ティックトック)など新たな動画サービスやアプリの市場が生まれたとゾン氏は言う。 

 ただ以前から言われているような書き言葉の滅亡はまだ起きていない。2015年に始まった「動画への転向」――視覚指向の世代が求めているとされる欲求に応じるため、メディア企業が資源を動画制作に回した――は時期尚早だった。ハビゴーストさんは古い世代がZ世代を外来種に仕立て上げようとするときによく起きるデータのつまみ食いの典型だと指摘した。 

 スナップチャットの元エンジニアで、インフルエンサーにサービスを提供する新興企業を立ち上げたドレイク・レフェルド氏(21)は、Z世代は間違いなく他の世代より視覚を重視していると話す。Z世代は上の世代より画像や動画を表示したり、録画したり、編集したりすることができる機器を使う機会が多いため、視覚指向になるのも当然だという。 

 だからといってZ世代が読むことが嫌いなわけではない。ピュー・リサーチ・センターによると、Z世代は高等教育を受ける人の割合が他のどの世代より高くなりそうだ。 

6.インターネットの利用についての懸念は行き過ぎと感じている  

 オックスフォード大学講師のエイミー・オーベン氏(24)は「(若者とテクノロジーについて)書かれていることの多くは、学校に入った時からフェイスブックが既に存在していた私のような人間にとって、ソーシャルメディアがどのような存在かを表現していないように感じる」と話す。 

 オーベン氏は最新の論文の中で、遺伝学や心理学などの分野に似非科学が広がる原因になったデータの誤った解釈がテクノロジーの若者への影響に関する論文にも広がっていることを明らかにした。その結果、子どもや若者が端末を使用することの良し悪しに関する研究の多くが不安定な基礎の下に成り立っている。研究者に偏った先入観があるかどうかで「人は見たいものを見ることができる」とオーベン氏は話す。 

 Z世代の中には、メディアがテクノロジーのマイナス面ばかり報道して、自分たちがテクノロジーによっていかに力を与えられているかを十分に取り上げていないと感じる人もいる。ハビゴーストさんは、携帯電話でインターネットにつながれば、過干渉な親から家から出してもらえないときに友達と連絡を取るのに役立つと言う。シャープさんは同じよう関心を持つ人を見つけるのに便利だと話す。いずれにしても、携帯端末でつながるインターネットはZ世代が仲間の幅広い経験を知るための強力な存在だ。 

7.それでもテクノロジー中毒や燃え尽き症候群になりやすい  

 それでもZ世代は今のようにインターネットを使い続けることはできないことを痛感している。ソーシャルメディアの利用を休む人や、ソーシャルメディアが脳に与える影響を気にする人もいる。ソーシャルメディアの使い方でどこまでが健全でどこからが不健全か分からないという若者もいる。 

 ワシントン大学で人間とコンピューターの相互作用を専門とする助教授のアレクシス・ヒニカー氏が14歳から64歳の人の携帯端末に関する習慣について調査した際、被験者から、年齢に関わらず、どうしても端末を使いたくなるときがあるという報告があった。こうした人達は少しも面白くないと思っていてもソーシャルメディアやゲームに引き込まれる傾向が強かった。 

 「私たちが携帯電話やソーシャルメディア中毒であることを自覚していることは間違いないと思う」とベーカーさんは言う。「ただ私たちはその事実を受け入れたばかりで、人間とはそういうものだと考えていると思う」 


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